間葉系幹細胞について

胚葉学的分類と発生する器官

内胚葉消化器(胃、腸、肝臓、脾臓)
呼吸器(喉頭、気管、気管支、肺)
尿路系(膀胱、尿道)  
中胚葉骨格系(骨、軟骨、結合組織)
筋肉系(横紋筋、平滑筋)
循環系(心臓、血管、リンパ管、血液)
泌尿生殖系(腎臓、卵巣、精巣、子宮)
外胚葉皮 膚(表皮、毛、爪、皮脂腺)
神経系(脳、延髄、末梢神経)
感覚器(視、聴、平衡、味、臭覚器)

幹細胞の定義

自己複製(分裂して自分と同じ細胞を作る)、と種々の細胞に多分化する能力を有し、際限なく増殖できる
分化能力による幹細胞の分類(再生医療学会定義)

1)受精卵(Totipotency分化全能性)

全能性幹細胞 全ての細胞に分化

2)IPS細胞(ヒト人工多能性幹細胞)

分化万能性(Pluripotency)腫瘍化する
ヒト体細胞を遺伝子導入、たんぱく質導入、薬剤処理等により人為的に初期化して得られる細胞または当該細胞の分裂により生ずる細胞で、内胚葉、中胚葉、外胚葉の細胞に分化する性質を有し、自己複製能力を有する。欠点として遺伝的欠損、目標細胞以外に分化、免疫拒絶反応が有りうる。

3)ヒト胚性幹細胞(ES細胞)腫瘍化する

分化万能性(Pluripotency)
ヒト胚から採取された細胞または当該細胞の分裂により生ずる細胞であって、胚で無いもののうち、多能性(内胚葉、中胚葉、外胚葉の細胞に分化する能力を有する)を有し、自己複製能力を有する細胞。欠点として遺伝的欠損、目標細胞以外に分化、免疫拒絶反応が有りうる。

4)ヒト体性幹細胞 腫瘍化少ない

分化多能性(Multipotency) 
ヒトから採取された細胞または当該細胞の分裂により生ずる細胞であって、多分化能を有し、かつ自己複製能力を持つ。
組織幹細胞(造血細胞、神経幹細胞、間葉系幹細胞「骨髄間質幹細胞、脂肪組織由来幹細胞」角膜上皮幹細胞、皮膚幹細胞、毛包幹細胞、腸管幹細胞、肝幹細胞、骨格筋幹細胞)、臍帯血、骨髄間質細胞、または体外で培養され上記細胞を含む。利点としては倫理的問題が少ない。臓器に自然に備わっている生体の組織修復システムをそのまま模倣できる。正常細胞と同等の機能を持つことが期待できる。移植者自身か他人の組織幹細胞を増殖させて使用できる。

以下5)、6)は幹細胞と言えない。

幹細胞を培養時に3.5回以上継代培養させた細胞

5)全駆細胞

分化単能性(Unipotency)
造血全駆細胞、神経前駆細胞など

6)成熟細胞(分化細胞)

造血幹細胞HMC(Hematopoietic stem cell)
血液の成分である白血球、血小板のもとになる細胞で主に骨髄に存在する。

間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell)
骨髄組織、脂肪組織、胎盤組織、臍帯組織、歯髄組織など知られるがES細胞やIPS細胞と比較すると多分化能は限定される。現在我々が研究している間葉系骨髄幹細胞は骨髄間質細胞に含まれ、骨髄の中で造血細胞を支える網状の支持組織形態として存在し、骨髄穿刺により容易に得られる。

間葉系幹細胞とは?

電子顕微鏡で見ると細くて長い幾つかの突起を持つ小さな細胞体であり、核は大きくて丸い。細胞質はミトコンドリア、ポリリボゾーム、小胞体、ゴルジ装置を含む。細胞の細胞外マトリックスは網状原線維を含む。
間葉系幹細胞は多能性の成体幹細胞の一種で、中胚葉の全ての細胞に分化する事が可能である。例えば軟骨組織、横紋筋、血管、腎臓組織に分化、細胞数も増殖可能で有る。
近年新たに研究が進み内胚葉組織(肝臓)や外胚葉組織(神経細胞)にも一部分化可能と報告されている。つまり、骨髄幹細胞が幼若化して胚葉を跨いで肝臓細胞、肺細胞、中枢神経細胞、脳神経細胞に分化する事が報告されている。

幹細胞を使用した再生医療

療分野において米国FDAは幹細胞の自然減少による生体の老化現象と疾病に一定の相関関係を認めている。肝臓機能低下、腎機能低下、免疫力低下による感染症と悪性新生物、免疫異常亢進による膠原病、代謝性疾患、動脈硬化、虚血性脳疾患、虚血性心疾患、皮膚の老化など全て加齢による幹細胞の減少と無関係とは言えない。日本の再生医療新法では自家移植(自分の組織より分離した幹細胞)と他家移植(他人の組織より分離培養された幹細胞)に分けられ、後者の他家間葉系骨髄幹細胞であるテムセルが厚生労働省に一時的に認められているが、保険適用には多くの制約が有り、再生治療を必要とする全ての患者様が治療の適応とはなりません。

幹細胞の臨床的可能性

頭部脳卒中、外傷性脳障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、顎関節症、脱毛症、視覚障害、難聴、顔面美容
筋と骨格筋委縮性側索硬化症、心筋梗塞、筋ジストロフィー症、骨折、骨髄移植、脊椎損傷、変形性関節症、リュウマチ性関節炎、糖尿病、クローン病、潰瘍性大腸炎、コロナ肺炎の後遺症
皮膚アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、難治性ニキビ、ニキビ跡凹凸
性とホルモン更年期障害、性機能不全

幹細胞の臨床応用の実際

細胞や組織より取り出した幹細胞を増殖させる。
 →→2~3億個を静脈点滴により移植
 →→幹細胞は必要とされる器官や組織に誘導され移動する。(ホーミング)

がんの増殖、器官の老化で傷ついた細胞から救難信号がサイトカインを介して幹細胞に伝えられる。すると幹細胞は様々な成長因子を放出して細胞を再生させて、臓器障害を改善させる。近年エクソゾームが司令塔の役目を担って居る事が解明さ、がん分子標的薬の効力と改善策が模索されている。

他家間葉系骨髄幹細胞培養液

幹細胞を培養する際に放出されたサイトカインと成長因子を含んだ細胞上清液の作用は限定的であるが幹細胞と同力価を有する。つまり、疲れた幹細胞がリフレッシュする為の栄養を与え、組織幹細胞本来の働きを回復促進させる。

サイトカインとは何か?

語源はギリシャ語でサイト=細胞 キネシス=運動させる細胞から分泌される低分子蛋白質で生活活性物質の総称。
平たく言えば細胞の機能と作用を活性化または抑制する作用がある。

以下の6種類が代表的

1) インターロイキン(IL)
  白血球が分泌し免疫系の調節をする。約30種ある。

2) 造血因子(CSF、EPO、TPO)
  血球の分化、増殖を促進する。

3) インターフェロン(IFN)
  ウイルスの増殖阻止、細胞増殖抑制の機能を有する。

4)腫瘍壊死因子(TNF-a, TNF-b)
  細胞にアポトーシスを誘発させる

5) 細胞増殖因子(EGF、FGF、PDGF、HGF、TGF)
6) ケモカイン(IL8)

他家骨髄幹細胞上清液を使った治療の実際

頭部・脳・神経系 Head & CNS
治療例用量過去の投与例
Traumatic brain injury  
外傷性脳受傷
50mL週1回(once / week)× 4W
Brain Stroke
脳梗塞、卒中
30mL週2回(2times / week)×4W
Learning defect
学習障害
30mL週1回(once a week)× 16W
Alzheimer‘s disease
アルツハイマー病
30mL週2回(2times / week)× 12W
Parkinson’s disease
パーキンソン病
30mL〜50mL週1回(once / week)× 12W
Spinal cord injury
脊椎損傷
30mL〜50mL週1回(once / week)× 12W
Deafness
難聴
30mL週2回(2times / week)× 4W
Baldness
禿げる
30mL週1回(once / week)× 16W
※ 頭皮への直接注射(Injection to head skin directly)
筋骨格系 Bone&Muscular system
骨髄移植 Bone marrow transplantation
治療例用量過去の投与例
Osteoarthritis
変形性関節症
30mL週1回(once / week)× 12W
Rheumatoid arthritis
リュウマチ性関節炎
30mL週1回(once / week)× 16W
Amyloidosis lateral sclerosis
筋委縮性側索硬化症
30mL〜50mL週1回(once / week)× 12w
Muscular dystrophy
筋萎縮
30mL週1回(once / week)× 12W + 運動負荷(exercise:quick&slow)
心臓血管系 Immune system& metabolic system
治療例用量過去の投与例
Myocardial infarction  
心筋梗塞
30mL〜50mL週1回(once / week)× 12w 
Arteriosclerosis
動脈硬化症
30mL〜50mL週1回(once / week)× 12w
代謝と免疫系 Immune system& metabolic system
治療例用量過去の投与例
Diabetes
糖尿病
15mL〜30mL週1回(once / week)× 16w + 運動(exercise)
Crohn’s disease    
クローン病
30mL週1回(once / week)× 8w
慢性疾患 Chronic disease
治療例用量過去の投与例
Chronic renal insufficiency
慢性腎機能不全
30mL週1回(once / week)× 12w
Liver function insufficiency
肝機能不全
30mL週1回(once / week)× 6w
感染症 Infection

肺炎(pneumonia)、敗血症(sepsis)、脳炎(encephalitis)、腎炎(nephrosis)
肝炎(hepatitis)、肝硬変(liver cirrhosis)
コロナウイルス感染症の後遺症とサイトカインストーム防止(control of cytokine storm in COVID19 pneumonia)

治療例用量過去の投与例
Dermatitis& Acne Scars
皮膚炎、ニキビ跡
20mL週1回(once / week)× 4W
Atopic Dermatitis
アトピー性皮膚炎 
20mL週1回(once / week)× 8W
更年期障害、ED、体力低下、閉経(Menopause)
治療例用量過去の投与例
Male erection disorder
男性の勃起障害 
30mL週1回(once / week)× 16W
Locomotive syndrome
ロコモティブ症候群
20mL週1回(once / week)× 8W
Insomnia
不眠症 
20mL週1回(once / week)× 4W